複雑機構の芸術品、ミニッツリピーターの響き
時計の複雑機構の中で「ミニッツリピーター」という機能があるのですが、ご存じでしょうか?
今回はこのミニッツリピーターについて書いていこうと思います
ミニッツリピーターとは?
時計には「世界三大複雑機構」というのがあります
パーペチュアルカレンダー・ミニッツリピーター・トゥールビヨン
これらの3つの機構を指しています
この中で最も歴史が古いとされているだけでなく、最も複雑な機構が【ミニッツリピーター】です
どういった機能かというと「音で時刻を知らせてくれる」機能です
この機構が開発された当時は、まだ蛍光塗料のような発光塗料もなく、街灯などの整備も不十分でした
夜間に小さな懐中時計で時刻を確認する事は難しく、音で時刻を知らせてくれるこのミニッツリピーターが開発されたのです
現代では夜でも街は明るく、また様々な発光塗料の開発により夜間でも腕時計で時刻を確認する事は容易になりましたが、ミニッツリピーターの超絶技巧に魅せられた人やその澄んだ美しい音色に惹かれる人も多く人気の高い機構となっています
また、各時計ブランドもミニッツリピーターを搭載出来る技術力を持っている!と誇る事が出来るため「超」が付く高級時計のブランドからはミニッツリピーター搭載の腕時計が多数発表されています
ミニッツリピーターの魅力
ミニッツリピーターは高音と低音を使い時刻を知らせてくれる機能です
高音が叩く回数で時間を、高音+低音が叩く回数で15分を、低音が叩く回数で分を・・となっていたり
自動的に1時間や15分の経過を教えてくれる「ソヌリ」と呼ばれる機能があったり、その種類はブランドによって違いますが、ミニッツリピーターに共通する魅力と言えば「音色」でしょう
代表的な音色ではウエストミンスターチャイム(4種の鐘で音楽を奏でる機構)があります
有名なロンドン、ウエストミンスター宮殿にある時計塔【ビックベン】が奏でる音色ですね
日本人には「学校のチャイム」の方が馴染み深く、分かりやすいかもしれません
機構を搭載するだけでも相当な技術力を必要とするのですが、更にその音色にまでこだわり追求されたミニッツリピーターは腕時計の愛好家達の中でも玄人好みの逸品なのかもしれません
ミニッツリピーター搭載の腕時計
実際どんな時計にこの機能が搭載されているのかご紹介します
PATEK PHILIPPE (パテック・フィリップ)
高級時計の代名詞的ブランド「PATEK PHILIPPE」
歴史も古く、愛好家の中には王族や皇族もいるほど
もちろんお値段も驚くほど高額です・・
こちらのグランド・コンプリケーションに関しては「プライスオンリクエスト」となっているのですが
実際のところ、どれくらいするのでしょうか・・
AUDEMARS PIGUET (オーデマ・ピゲ)
こちらも「超」が付く高級時計ブランド「AUDEMARS PIGUET」
愛好家が最後にたどり着く、と言われる憧れブランドの一つです
「音」に対してのこだわりも強く、【楽器のように美しい音】を目指しています
グランドソヌリ・プチソヌリ・ミニッツリピーター、これらの複雑機構の製造に自信を持つブランドです
BREGUET (ブレゲ)
時計の歴史を200年早めたと言われる天才「アブラアム=ルイ・ブレゲ」が創業した時計ブランド
トゥールビヨンを開発したのもブレゲだと言われる時計界の鬼才
もちろんミニッツリピーターへのこだわりも強く1783年、今までになかった板バネの上で音を鳴らす技術を開発
これによりミニッツリピーターの機能を搭載しながらも時計の厚みを薄くする事が可能になりました
ハーモニー豊かで繊細な「音」は一度聞いてみる価値のある音色です
PIAGET (ピアジェ)
今ではジュエリーでも有名な「PIAGET」
「薄型」の追及に力を注いできたPIAGETの時計はどれもエレガントで繊細なデザイン
しかし、デザインだけではありません!
高精度のムーブメント製造から創業した「PIAGET」の技術力は非常に高くミニッツリピーター搭載の時計も多く発表されています
とにかくこのミニッツリピーターという複雑機構は技術がないと搭載出来ないんですね
なので、【ミニッツリピーター搭載=高い技術力を持っている事の証】となり、高級時計ブランドからはこの機能を搭載したモデルが多く発表されているんですね
それはそのまま、ミニッツリピーター搭載の時計=「超」高価な時計となるわけです
技術力、機構の美しさ、音色の優雅さ、そして価値の高さこれら全てを兼ね備えた機構こそがミニッツリピーターの魅力そのものになっているんですね